やさしい革

なめし加工請負〈原料皮準備〉

剥ぎ方

皮なめしのためには、余分な脂・肉を除去し、皮革素材として使用する胴体部のみの原料皮状態にすることが必要です。脂・肉はなめしが出来ず、腐れや色ムラ等の原因となり、剥皮処理が完成する皮革素材品質に大きく左右します。

確認1<部位切除>

  • 頭部は残さず、首筋で切除してください。
  • 脚部は、腿あたりで切除し脚部が筒状で無いように切り開いてください。
  • 尻尾部は、尻尾を切り落とすだけでなく、股部を開きゆるやかな曲線状にカットしてください。鋭角に切れ目が入ると、背筋にかけて鞣(なめ)し途中で縦に割けてしまいます。
  • 注意事項:脂・肉・部位切除が不完全な場合はなめし加工賃が異なります。必ず部位切除を励行してください。

確認2<脂、肉、皮膜などの除去>

  • シカの場合:シカの皮膜もなめしに悪影響が出ることがあります。品質向上のために必ず除去してください。

  • 鹿皮処理前

  • 鹿皮 脂・皮膜の未処理

  • 処理中

  • 処理後

  • 処理完了
  • 猪の場合:ヨロイは処理に時間を要し、また完全には除去し切れずなめし加工の妨げとなります。なるべくヨロイ付きの原皮は送らないでください。

  • 猪皮処理前

  • 猪皮未処理

  • 猪皮処理作業

  • 左 未処理 右 処理済み

  • 処理後の脂・ヨロイ部の残渣

  • 猪皮処理済み

確認3<その他、重要確認事項>

  • 基本的に毛の処理は不要です(なめし工場で脱毛します)。但し、猪皮の剛毛部は脱毛処理で抜けきれず、毛根元部が残ることがありますので可能な限り原皮状態で切除してください。
  • 原皮は良く洗い、ノミ・ダニやウジ等を完全除去してください。
  • ナイフキズによって、鞣しが完成しても皮革がボロボロになってしまうことがあります。ナイフの切っ先が少し表皮に貫通するだけでも穴状に開いてしまいます(なめし加工中にキズがついたり、穴が開くことはありません)ので、ご注意ください。

保管方法

獣皮保管の際に最も重要なのは原皮下処理です。「剥ぎ方」で記載した脂・肉の除去が不完全な場合、保管方法によっては腐れを早めることになります。腐ってしまった皮は、鞣した後に表皮に斑点状の穴・くぼみが出来たり、割けてしまったり、風合い・発色・厚さの不均一や素材としての強度不足などの原因を招き皮革素材として十分な用途で使用できないこともあります。

塩蔵(えんぞう)保管

「剥ぎ方」に従って脂・肉処理が適切に行われた場合に有効な常温保管方法です。塩蔵することで、原皮中の余分な水分を溶かし出し、塩自体が腐れを遅らせる効果があります。

  • 原皮よりも大きめのパレット(木・樹脂製)を敷き、その上に毛皮面を下にして原皮を広げます。
  • 上を向いている肉面に、原皮重量の約40~50%ほどの粉砕天日塩(推奨)を少し擦り込む程度でまぶします。(両手で山盛り掴み程度)
  • 2枚目以降は、ミルフィーユのように重ねて行き、上記2の作業を繰り返します。
  • 注意事項
  • 保管場所は、室内外で風通しがよく、直射日光の当たらない、湿度・気温が低い場所を選びます。また、水分が出たり臭いも発生しますので、生活環境や周辺地域との調整にも十分配慮してください。
  • 地域・原皮状態・季節によって保管可能時間は異なりますが、おおよそ1か月を目途になめし依頼に出してください。
  • パレットが無い場合は、ビールケース等の水分が床に落ちるような形状のものを選びます。原皮が水分に触っている個所から腐れが始まります。
  • 皮に黄ばみが出たり、虫がわいたり臭いが出始めたら、早目になめしに出してください。



冷蔵冷凍保管

通常の肉と同じく、腐る前になめしに出してください。なお、低温冷凍で冷凍期間が長い場合は原皮のコラーゲンタンパク質の繊維層が破壊され、冬場の人の皮膚のひび割れのように革にした際に表面が割れることがありますのでご注意ください。

  • 注意事項:冷蔵冷凍した皮は、クール冷蔵便・冷凍便でなめし工場に送るか、解凍した場合は塩蔵してから発送してください

乾燥保管

乾皮状態まで乾き硬くなった獣皮も鞣すことが出来ます。

  • 注意事項:なめし工場で水戻しをして作業に入りますが、場合によっては乾燥時・発送時の獣皮状態で表皮割れや染色ムラなどが起こることもあります。

サービスガイド