MONYプロジェクト

2018年、JICA国際協力機構の民間連携基礎調査事業に採択を受けて、モンゴル国の皮革産業に対して山口産業株式会社の開発したラセッテーなめし技術シェアのための調査を実施しました。2019年4月には同国農牧省や皮革協会また駐モンゴル日本大使館の立会いのもと、現地タンナー(皮革なめし業者)2社と技術提携を交わし本格的に技術シェアをスタートしています。MONYとは、Mongolの“MON”とYAMAGUCHIの“Y“を合わせた造語で、JICA調査団や現地タンナーにより名付けられました。ラセッテーなめし技術の導入により、工場排水が改善され内陸国であるモンゴル国の大切な水資源を守ること、同国皮革素材のブランド化を推進することで廉価取引からの脱却や皮革産業の持続的な発展に貢献してゆくプロジェクトです。

MONYプロジェクトの目標

①モンゴル国の皮革なめし工場から出る、すべての排水をきれいにすること
②同国皮革産業の国際競争力を強化し経済の発展に寄与することで、豊かな生活と労働環境をつくること
③同国国民が、自国資源や産業に誇りを持ち、次世代へ正しく伝えて行くこと

私たちの活動

日本からモンゴル国へ「ラセッテーなめし製法の技術協力~MONYレザーの誕生」

日本国土の4倍の全土に広がる広大な草原で羊・ヤギに代表されるモンゴル5畜(その他に牛、馬、ラクダ)を畜産するモンゴル国において、食肉や乳製品、ウール(羊毛)やカシミヤ(ヤギの毛)に加え原皮の利活用は重要な産業です。しかし、大量に供給される原皮のほとんどは手を加えることなく海外に廉価で販売され、また約30件のタンナーによって国内で生産される皮革素材の大半も半製品として流通されており、国際的な低価格競争の中で決して潤沢な収益をもたらすには至っていません。さらに、同国内で生産される年間数百万枚に及ぶ皮革素材のほとんどがクロムなめし剤を使用しており、工場排水中のクロム含有によって工場地帯の土壌が汚染され、高度な排水設備の導入や工場地帯自体の移転を余儀なくされている現状です。
そこで私たちは山口産業株式会社の開発した「ラセッテーなめし製法」技術を移転することで、同国の工場排水問題の解決と、人と自然と環境にやさしい革素材「MONYレザー」の開発を推進することで持続可能な皮革産業基盤の構築を実施しています。

モンゴル国から日本へ「MONYラグビーボール型クッションの開発」

ラセッテーなめし製法を活用し日本そして世界に販路を拡大しようとするモンゴル国のタンナーと、同国の皮革製品ブランドMARISとの連携により、2020年コロナ禍の中で数十回に及ぶ両国間でのリモート会議と試作開発を経て、世界初となるMONYレザーを使用する製品が完成しました。まずは日本国でのマーケット・リサーチとセールス・プロモーションを兼ねてCAMP FIRE社の協力の元、2021年1月8日から2月27日の期間、クラウドファンディングを実施しました。日本からモンゴル国へ、そしてモンゴル国から日本へと、ひとつの技術が国境を越えて多くの人々に愛される活動に繋がりました。

日本×モンゴル国間連携クラウドファンディング活動

クラウドファンディングでは、モンゴルでの事業をラグビーのフェアプレーの精神と重ね、クッションを単なるインテリアではなく、健康づくりとして活用いただくために、ラグッパ体操とコラボし、2月28日までの間に、1,456,300円のご支援を集めました。さらに、長期療養児支援活動をされている特定非営利活動法人BeingALIVEJapan様にもパスがつながり、特に企業様からの共感が集まりました。国境を超えて世代も超えて「子供たちのために」という想いの元、モンゴル大使館はもちろん、多くの著名人の方々からも応援していただく運びとなりました。

日本とモンゴル国、国境を越えた連携事業「MONY for Children」

MONYラグビーボール型クッションのクラウド・ファンディングの実施により、MONYレザーの品質や物性を証明できただけでなく、ラグビーのチームプレーのように大切に”パス”をつなぐ連携事業が生まれました。モンゴル国でMONYクッションを製造したMARIS社から型紙の提供を頂き、日本国内のメーカーやブランドの自社製品化や、工房やクラフト教室を通じて市民の皆様によるMONYクッションづくりが始まったのです。
きれいな水にあふれる地球づくり」のスローガンのもと、作る人も使う人も、国境や人種も超えたパスのつながりにより“子供たちの笑顔と未来づくり”に参画できるように、2021年5月5日こどもの日に「MONY for Children」事業をスタートしました。

オール・モンゴル国の取り組みで、自国民が誇る持続可能な産業化へ「made in Mongolia project (MIMP)」

どんなに素晴らしい素材が出来ようとも、どんなに高い経済効果をもたらそうとも、地域住民に理解され愛されなくては継続できないのが地域産業です。モンゴル国民の皆さんが、やさしい革のある暮らしを体感し、MONYレザーとその製品を自ら世界に誇れる日を目指して、同国民有志でプロジェクトがスタートしました。
(2019年JICA民間連携事業・案件化調査事業としてMIMP設立をサポートしました)

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